経営の真髄研修で、使命を自覚。
深刻な人手不足に直面する日本経済は今年、大きな転機を迎えた。
外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が4月1日、施行され、人材不足が深刻な14業種で就労を認める新たな在留資格「特定技能」を導入し、5年間で最大約34万5千人の受け入れを見込む。
政府は、外国人労働者の本格的な受け入れに向けてかじを切った。
経営学者のドラッカーが「日本は今後、絶対に移民政策をやらなければいけなくなる」と指摘したように、外国人の力を借りなければ、この国は経済崩壊のリスクさえある。
旅行会社を経営していた楠田氏は、2015年外国人の就業教育事業、そして外国人専門有料職業紹介事業へ転換する。
「困っている人達を支援したい」「日本の人手不足を解消したい」という理想。
しかし、現実は厳しかった—-。
日本には、見えない「鎖国」がまだあった。
すべての仕事がキャンセルに
インターネットの普及により旅行業界は、旅行業者が宿泊先などを個別に手配する「手配旅行」や「パッケージ旅行」から、各個人で情報を収集して直接ネット上で宿泊先やチケット等を手配する「個人旅行手配」へと急速に変化。
楠田氏は、バブル経済崩壊後、中止傾向にあった慰安旅行が、景気の回復と社内でのコミュニケーションアップが問われる時代となり、復帰の兆しとなったトレンドを見逃さず、「慰安旅行」×「グルメ」という企画旅行をヒットさせた。
楠田氏:2006年に旅行会社を設立し、順調に売上を伸ばしてきました。
2011年は、売上2億円という限界突破の年のはずでした。
3月11日、東日本大震災発生。
慰安旅行がメインの弊社には、「ごめんね、楠田さん。うちは特に被災したわけじゃないけれど、旅行に行っている場合じゃないもんね」という電話が鳴り続け、その年のほとんどの旅行はキャンセルになりました。
私は、「このままでは絶対にダメだ。何かを変えなければいけない」と焦るばかりでした。
お客様が背中を押してくれた
楠田氏:2013年にフィリピン・レイテ島で発生した大型ハリケーンにより2,300人以上の尊い命が奪われました。
旅行業で知り合った方々も多く、何か支援ができないかと考えていました。
ご存じのようにフィリピンは就職口が少なく、貧しい地域です。ここで現地の大学生に日本語を教え、日本企業で働くことが復興支援になるのではないかと思いました。
そんな時、長年地元でお世話になっていたお客様から「これから日本は、絶対に人手不足になる。実習生は3年で帰ってしまうだろ?ずっと日本で働ける方法はないか?この仕事は、楠田さんのように海外に知り合いが多い人しかできんだろう。お前ならできる。やってみろ」と、背中を押してくれたんです。
見えない鎖国――。「法律の壁」「意識の壁」「言葉の壁」
理想と現実。
政府が旗を振る「外国人歓迎」「インバウンド」は、外国人が「お客様」のときだけ。「グローバル」には、アジア諸国は入っていないのではないかとしか思えなかった。
「経営の真髄」実践コースでは、現在の延長線上に現状を積み重ねていくのではなく、理想の世界から逆算して事業計画を創る。
楠田氏:私が目指したのは、技能実習ではなく外国人雇用による長期戦略です。
「技能実習生」とは、母国で修得が不可能または困難な技術や知識を日本で学び、実習が終われば、母国に帰国して修得した技術・技能を活かせる業務に従事することが条件です。日本の国際貢献や国際協力の一環となっていますが、実態は人手不足に悩む中小企業や農業、漁業の現場で働いているのが実情です。
まず直面したのが、「法律」です。
とても細かく、特殊なビザで本当に難しかった。「こういう条件が整えば、連れて来て良いですよ」というまさに鎖国状態でした。
次に、「意識」。
日本人は、外国人が「お客様」のときには、日本人独特の「おもてなし」ができるのですが、その外国人(とくにアジア人)が「労働者」となった途端、「風習が違う」「行動がわからない」と差別意識が芽生えます。
また「言葉」に対しても、壁をどんどん高くします。
ただでさえ日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字を使う世界でも有数の難しい言語ですが、その習得だけでなく「イントネーションが気になる」と採用をためらわれることもあります。
使命を誓った「経営の真髄」研修
楠田氏:5年前、「経営の真髄」研修に参加し、自分の使命を誓ったことから今の事業がスタートしました。
この分野ではパイオニアでしたので、正直大変なことの連続でした。
海外の大学との交渉、提携会社の裏切り、海外人材の事件、事故、法律の壁、受入企業様と共に道を切り開いてきましたが、失敗の連続でした。申し訳なさと情けなさで、何度も何度も、もう辞めよう、死んでしまいたいという試練をくぐり抜けて来られたのは、その都度応援してくれる方々、励ましてくれる方々に支えられたからです。
やっぱり使命を果たすのを止めます・・・
単身、外国に行き、東南アジアを巡る。
大学や送り出し機関との提携。そして日本人にも外国人にも騙され、借金が膨らむ。
「元々が何分、素直な性善説のかわいい女の子ですから」(楠田氏・笑)
楠田氏:2012年に開発を始め、実際に成功するまでに4年かかりました。
私が開発してきたのは、正社員で雇用できるビザです。それもエンジニアだけではなく、マーケティング、通訳、管理者として就業できる特殊なビザです。
2014年に参加した「経営の真髄」実践コースでは、あまりの辛さに「そうか、使命なんて捨てればいいんだ。変えればいいんだ。こんな苦しい思いをして自分の使命と思っていることを実現しようなんて思わなければいいんだ」とささやきが聞こえます。
研修の最後に決意発表があるのですが、「やっぱり使命を果たすのを止めます」と言おうと壇上に上がると、「これは私の声じゃない」そんな不思議な感覚になりました。
「私は、必ず使命をやり遂げます」
と、いつの間にか言ってしまっていたんです。
しかし、試練は続きました。砂田さんからは、毎日のように送られてくる「絶対やりきれる」「“決意”と“試し”はセット」のメールに励まされ進んできました。
私の人生は、この「経営の真髄」研修で大きく変わりました。
砂田社長にビシバシと鍛えられて、信念を貫き、使命実現に向けて一歩一歩踏みしめ、今日まできました。
2016年、私のあきらめない姿勢を見てジェトロの顧問をしている方が、弊社の顧問を申し出てくださり、難しい外国人の正社員での就労ビザが成功しはじめました。
また、ベトナム航空グループの送り出し機関との業務提携により信用力が増しました。
申請が上手くいかず、多くの就労できなかった外国人、受け入れることができなかった企業様が「一緒に道を切り拓こう、楠田さん」と言ってくださったお陰で、今があると感謝しています。
「四正道に基づく外国人への就業教育」を「理念」に据える
企業にとって、出稼ぎしたい外国人にとって、改正出入国管理法は、うれしい知らせだ。
とはいえこの法案には、さまざまな批判が出ている。身近な生活レベルでも、ゴミの出し方など外国人のマナーを問題視する声は多い。
代表的なのは、「治安の悪化」だ。
統計によると外国人の犯罪発生件数は、2005年をピークに減少傾向に入り、(外国人が急増しているにも関わらず)1/3にまで減少している。
「移民=犯罪者予備軍」という偏見が広がっていると言える。
楠田氏:外国人の長期雇用に成功している企業の特徴は、家庭的な経営が多く、日本人同様の給与や労働時間が守られていることです。
私共は、「現地育成」「現地採用」を大切にしています。
日本語だけでなく、礼儀作法や日本文化を教え込みます。「親日外国人」をスカウトし、丁寧な教育で「日本人」に育てるような感じです。
その「日本人化」教育の中心に据えているのが、愛・知・反省・発展の「四正道」に基づく外国人への就業教育です。そのために「ガイア国際センター」は生まれました。
私どもの会社で就業教育を行っている子たちは、戦後の日本人のような目の輝きを持っており、皆日本での就労を夢見ています。
優秀な外国人が必ず日本を支えてくれます。そしてこの日本で働くという経験が、彼らの魂を磨き、日本と祖国の架け橋となり、世界の発展へとつながります。
外国人と共存する日本を目指して
楠田氏:私は、この「愛・知・反省・発展」という四正道の教えは、日本人や外国人という枠を超え、「地球人」としての共通の真理だと思います。私は、ガイアで就業する人達を、愛情を込めて「ガイアファミリー」と呼んでいます。
私たちは、外国人と共存する日本を目指していかなければなりません。
日本語ちょっとへたくそかもしれない。ちょっと変わったことするかもしれない・・・けれども、この方達が日本の経済を支えてくれているんだという事実を知り、受け入れ、「共存したい」という気持ちなくして機能するものではないと思います。
1人でも多くの若者にチャンスを与えたい
「あの人外人だから」といった差別をする時代は、もう終わりました。
これから経営者の皆さん外国人を直接雇用して頂きたいです。
現場の単純労働の作業員だけではないです。威圧的な外交官たちと相対するときも、「今に見ておれ、このビザが絶対日本を救うんだ」そして「あなたの国だって絶対助かるんだ」と心の奥で思っていました。
実際、その時就業した子たちは現場研修を終え、日本企業の海外進出を手伝ったり、祖国との橋渡しの業務に携わっています。
外国人と真に共存する「仕組み」をつくること。
それが私の使命です。
「あなたは、何のために生まれてきましたか?」
自分の心を深く見つめたとき、自分は本当に何を求めているのか?
心の奥底から湧(わ)いてやまない思いや、心のうずきがあるなら、そこにあなたが生まれてきた目的、使命を見つける鍵があります。
それは、現時点では無理と思われることでも、努力によって実現できます。
楠田さんは、旅行業から高度人材派遣業へ転換し、「本当の使命」をつかまれました。それは、自分の事業さえ上手くいけばいいという小さなものでなく、社会貢献につながる明確で大きな使命でした。
その実現のためには、ビジョンが必要です。ビジョンとは、経営の設計図です。目標を明確化し、事業計画を作成し実行する。
「経営の真髄」徹底実践コースは、経営者・リーダーがみずからを鍛え、レベルアップし、使命を果たすために限界突破する実践コースです。